照明のチューニングポイント〔其の2〕
東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡
照明のチューニングポイント(2)
5、吹き抜けブラケット
写真-1はエントランスにある1階から2階までの吹き抜けブラケット×3灯である。
飾りの照明ではあるが1階部分にはこの照明しかないので消灯させるわけにはいかない。
点灯時間が10時間/日、300日/年程度はあるので節電効果は高いのだが、口金E17サイズのLEDランプは価格が高く、回収に3年近くもかかってしまう。現在の価格では、年間で50%の点灯時間がなければLEDランプへの交換は難しいようだ。
写真-1 吹き抜けブラケット
このブラケットには60W型54W/110Vのミニクリプトン電球(クリアー)が1灯、横向きに入っている。LEDランプは横向きに光を出す器具には不向きな光源でもあるので、写真-2のような電球形蛍光ランプに換えることにした。
消費電力はLEDランプも電球形蛍光ランプも大差がないので、無理をして高価なLEDランプに交換しなくても、節電効果は同じである。
6、電球形蛍光ランプ
この電球形蛍光ランプには60W型と40W型があったが、それほど照度が要求される場所でもないので、若干暗くなるのを覚悟のうえで試験的に40W型に換えてみた。
実は写真-1の上二つが40W型蛍光ランプで、一番下だけが60W型ミニクリプトン電球である。
写真-2 電球形蛍光ランプ
比較のために2個だけ交換したのだが、実際に見ても明るさも色合いも区別ができないほどだ。
60W型ミニクリプトン電球ではあっても110Vタイプなので100Vタイプよりも暗くなる事を考えてもこれだけ区別がつかないことは意外であった。
7、現在でベストの選択を
単純に60W型が付いているから60W型に換えるというのではなく、まず1個だけ交換して比較してみることが大切だ。W数を落としても誰も気が付かなければ問題がないということなので、それから徐々に全てを交換していけばよい。
40W型蛍光ランプは7Wなので4か月程度で回収が可能だ。寿命はLEDランプの40,000時間に対して1/4の10,000時間しかないが、価格が1/8なので回収効率も良い。球交換の手間はかかるが、ミニクリプトン電球の寿命は110Vタイプで2,000時間なので、現在の1/5の手間しかかからないと思えばよい。
LEDランプの寿命が40,000時間といっても確かめたわけではないので信用はできないが、ミニクリプトン球や電球形蛍光ランプの寿命ならばある程度は信用できるだろう。
この蛍光管が10,000時間点灯した頃には、LEDランプの価格も下がっていることだろう。消費電力も下がっているはずだ。明るさもさらに明るい製品が出ているはずだ。その時にまたLEDランプへの交換を検討すればよい。