照明のチューニングポイント〔其の5〕
東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡
照明のチューニングポイント(5)
照明制御システム(1)
照明制御システムは省エネ設備ではあるが、設定次第では増エネ設備ともなってしまう。省エネ設備とするにはどのようにすればよいのだろう。
1、照明制御盤
最近の照明制御システムはコンパクト化されてきて、パソコン感覚で使えるようになっている。
写真-6のような1台の幅が60㎝もあるような大きな制御盤は使われなくなったかもしれないが、大型のメリットとしては一目で全てのスイッチ状態が把握できるという面では便利である。
2台で560個もスイッチがあるので、建物内のどの照明スイッチがONなのかOFFなのかが一目で分かるのだ。一つのスイッチ毎に赤と緑のLEDがあり、ON状態なのかOFF状態なのかが分かるので、消し忘れの防止には非常に役に立つ。
2、スイッチを色で識別
写真-7のようにスイッチ毎に目印のシールを貼ることも容易だ。自由にON/OFFできるスイッチ、タイマーでON/OFFするスイッチ、必要時のみ点灯するスイッチ、夜間用のスイッチに分けて色の違うシールを貼り、無駄な点灯を防止するのだ。
建物内の各所にある壁スイッチのスイッチ一つひとつに照明制御盤のスイッチをいくつでも割り当てられるようになっているので、一つのスイッチで照明制御盤のスイッチをいくつでもON/OFFすることができる。このようにスイッチ毎に照明を自由に設定できるので、無駄な点灯がないように細かな設定も可能だ。
問題は建物竣工時に割り当てられたスイッチが適切かどうかである。竣工時の設定が適切であれば良いのだが、必要のない場所の照明が点灯するような設定では、照明制御システムが増エネシステムとなってしまう。小さな部屋であれば壁スイッチが1~2箇所なのでそれほど問題がないかもしれないが、広い部屋で壁スイッチが何か所もあれば気を付けなければならない。例えば東側にある壁スイッチを入れた時に西側の照明までが同時に点灯した場合を考えてほしい。部屋の東側しか使わないのに西側まで点灯するような設定ではどう考えても増エネとなってしまうだろう。
3、適切な設定
竣工時に何故適切な設定が行われていないのかと思うかもしれないが、写真-6の照明制御盤のスイッチを一つ入れたらどの場所の照明が点灯するのかを全てのスイッチで把握したうえで、壁スイッチのスイッチ一つひとつに無駄のない割り当てを竣工前にすることは不可能に近い作業である。
竣工後に実際に照明を使うようになってからでないと分からないこともあるので、竣工後に無駄な照明が点灯していないのかを確認し、どの照明はどこの壁スイッチのどのスイッチに割り当てれば無駄のない点灯ができるのかを確認して、設定を変更していかなければならない。一つのスイッチをONにした時に必要な照明だけが点灯し、不必要な照明が点灯しないようにするのだ。