ビルの省エネ指南書(18)

窓のチューニングポイント〔其の2〕

ブラインドとカーテン

コンピューター室のように室内温度が低い部屋でブラインドとカーテンを併用した場合の保温効果を前号と同様にして調べてみた。

カーテンはブラインドのように隙間がないために保温効果はあるが、カーテンだけでは色的に日射を吸収する難点もある。そこでブラインドの反射効果とカーテンの保温効果を併用することで相乗効果が期待できるはずだ。

1、ブラインドとカーテンの保温効果
 
写真-1 窓ガラス

 調査したビルのコンピューター室は東側に窓があるが、写真-1のように向かい側直ぐ近くにビルがあるため日射が入る時間は僅かな間だけである。温度測定は平成23年8月9日午後4時頃におこなったので外気温度は高いが、日射の影響は全くない。

2、ブラインドを下ろして完全に閉める
 
写真-2 ブラインド

 写真-2のようにブラインドを下ろしてスラットを完全に閉めた。ブラインドだけでも保温効果があることは前号で実証済みだが、コンピューター室のように室温が低いと、それだけ屋外との温度差が大きくなるので、熱の侵入量も多くなるはずだ。そこで写真-3のようにブラインドの手前に遮光カーテンを床面までの長さで新たに取り付けて、ブラインドとカーテンによる二重の保温効果がどれだけあるかを調べてみた。光を通さない遮光カーテンのほうが通常のカーテンよりも保温効果が高いはずであり、床面までの長さにすることでカーテン下部での隙間もなくなる。

3、ブラインドの手前にカーテンを取付ける
 
写真-3 遮光カーテン

 コンピューター室の温度が22.2℃で、カーテンとブラインドの間の温度が27.7℃で、ブラインドと窓ガラスの間の温度が30.2℃だった。カーテンを挟んでの温度差が大きいのが分かる。

外気温度が33.2℃前後であったので、室内との温度差は11℃である。窓ガラス1枚を挟んでの11℃差と、窓ガラス+ブラインドを挟んでの11℃差と、窓ガラス+ブラインド+遮光カーテンを挟んでの11℃差では当然に保温効果が違うので、屋外からの熱の侵入量も違ってくるはずである。

コンピューター室のように室内温度が低い部屋はブラインドと遮光カーテンを併用した二重の空気層による保温対策を推奨する。

保温の必要がない冬季は、カーテンとブラインドを開けて、窓ガラスで熱交換させるようにしたい。部屋毎・季節毎に設定を変えるのは当然だ。