熱源機械室のチューニング〔其の3〕
東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡
熱源機械室のチューニング(3)
② 二次ポンプ電流
1、モーターの定格電流
吐出バルブを全開にしても、モーターの運転電流が定格電流より低ければ問題はないが、高くなることもある。この場合はバルブを全開にすることができないので、電流計で測定しながら定格電流になるようにバルブ開度を調整すればよい。三相が平衡しているとは限らないので、三相の電流を相毎に測定して、一番電流の多い相に合わせてバルブ開度を調整するのだ。
ポンプの吐出バルブだけではなく、運転台数や往ヘッダの吐出側バルブ開度によっても運転電流が変わってくるので、ポンプは単独運転にして、一台ずつが定格出力に近くなるように運転電流を調整したほうがよいだろう。
30kW |
|||
HERTZ |
50 |
60 |
60 |
VOLT |
200 |
200 |
220 |
AMP |
110 |
106 |
97 |
RPM |
1460 |
1750 |
1760 |
写真―1の銘板にはこのように表示されている。銘板の周波数と電圧を見て電流を調整するのだ。
2、回転数制御
インバーターにより回転数制御を行っていれば、50Hzや60Hzの商用周波数で運転していることはないだろうから、ポンプの吐出バルブを全開にしても定格電流を超えることはないはずだ。もし商用周波数で運転しているインバーターならば、停止させて商用電源での運転に切り替えたほうが省エネになる。インバーターがあるのならば、商用周波数の80%以下で運転できるようにしたい。
写真―2は周波数30.8Hzで運転しているインバーターだ。モーターの電流は定格電流よりもかなり低めとなっているが、インバーターが故障する時のことも考えておかなければならない。つまり商用電源で運転する可能性も考えておくのだ。
インバーターを停止させた状態で、商用電源に切り替え、二次ポンプを一台運転にして、吐出バルブの開度を調整したい。
3、定回転ポンプでの台数制御
二次ポンプが定回転の場合、流量で台数制御の増段値を設定している場合は注意が必要である。
同じ型式のポンプで吐出バルブ開度が同じあったとしても、ポンプ毎の吐出量と運転電流が同じになるとは限らない。調整の結果一台当たりの流量が変わるのならば、増段値設定も変える必要があるので、最も流量の少ないポンプを基準にして台数制御の増段値を設定するのだ。
運転電流に余裕を持たせようとして、吐出バルブを絞りぎみに調整したのでは、流量が減少した分だけ早めに増段させなければならず、ポンプの運転台数が増えた結果、搬送動力も増えてしまう。
トータルでの消費電力量で考えれば、吐出バルブを絞って定格出力以下で運転するよりも、定格出力で運転したほうが、ポンプの延べ運転台数は少なくなり、搬送動力面での省エネ効果がある。